五勝手屋本舗で最も長く愛されている看板商品といえば羊かんですが、わたしたちは明治3年の五勝手屋羊羹誕生のときから、豆には小豆ではなく【金時豆】をつかってきました。
わたしたちはその特徴を、主張せず、ほかの素材の味わいを活かし、まとめるちからをもっているものと捉えています。自身が主張しないことで全体をおいしく仕上げる、裏方のような役割を担うのです。
さて、そんな金時豆の特徴はそのまま、五勝手屋本舗が心がけ、そして目指すものでもあります。
わたしたちが店を構える江差町は人口8000人に満たない、みなみ北海道の小さな田舎まちです。ここで日々、生業であるおかしづくりをしていますが、その中で心に留めていることは、主張せず、ときに裏方のようでありながら、なくてはならず、必要とされること。つまり、わたしたちにとっての金時豆のような存在であること―。
羊かんにも、お店づくりにも、金時豆をたいせつにしながら、五勝手屋本舗は今日も江差町でおかしづくりを続けています。