連載:一月一話

第7回 2022年11月

本和菓衆と五勝手屋のおはなし。

五勝手屋を含む、全国の老舗和菓子店の若旦那や跡取り10名によって、2013年に『本和菓衆(ほんわかしゅう)』というチームを結成いたしました。ここでは『伝統×革新』をテーマに、各社の技術や歴史と現代の視点とを交えた、新たな和菓子を生み出し発信しています。

『本和菓衆(ほんわかしゅう)』の存在が刺激になって、結成以降、日々の和菓子づくりがより楽しく、面白くなりました。
素材やつくり方を改めて見直すことや、長らく変えないできた習慣的なことを、一から捉え直し、ひも解いて、構築し直すということもありました。

金時豆の特徴とは? 豆以外の材料で羊かんを作れる? なぜ洋菓子は和菓子よりも新しい? などなど。これまでとは違うスイッチが入った、と言えるのかもしれません。どうすればよりおいしいものが出来上がるのか、興味や好奇心があとからあとから湧いてきます。

そうして新たにつくったお菓子には、たとえばじゃがいもやかぼちゃ、ナッツなどこれまで考えもしなかった素材を使った羊かんや、甘さとともに苦さにも注目したカラメルの羊かんなどがあります。
また、五勝手屋の新しい“顔”になりつつある、ドライいちじくの中に五勝手屋羊かんを詰めた『回/Re-fruit』も、本和菓衆との出会いの延長線上に誕生したものです。

新しさが欲しいからといって、私はケーキをつくるつもりはありません。
和菓子の中にも驚きや新鮮さを宿らせることはできますし、和菓子が常に「いま」であり続けるということが、結局は伝統を守ることにつながるんだと、今さらながら気付かせてもらいました。

この11月には、銀座三越を会場に10回目となる本和菓衆を開催し、各店が想いを込めて、和菓子の楽しさ、面白さを披露いたします。五勝手屋でも、お客さまの反応を目の当たりにする緊張感も糧に、おいしいお菓子をご用意しました。

期待半分、不安半分。皆さまにお会いできることを、楽しみにしております。お近くの方はぜひ足をお運びください。


第10回本和菓衆
開催日/2022年11月9日(水)〜15日(火)
会場/銀座三越地下2階 銀座ステージ