連載:一月一話

第6回 2022年10月

お菓子の風景と、その舞台裏。

五勝手屋のwebサイトやSNSで毎月お目にかけている“お菓子のある風景”。たとえば上生菓子や季節のお菓子を、さまざまな写真でご紹介しています。
その撮影場所は、江差町の『旧関川家別邸』や『旧中村家』。かつての江差町の繁栄を今に伝える建物で、関川家は豪商の別荘、中村家は回船問屋として建てられ、両者とも百数十年の歴史を持ちます。
現代では、江差町の観光名所として活躍していますが、五勝手屋でも、まちの雰囲気や魅力をお伝えするため、この歴史ある2つの古建築を撮影の舞台としてお借りしています。

旧関川家別荘は江差町の有形文化財、旧中村家は国の重要文化財に指定されています。なお、旧関川家別荘は冬季休館となるため、11月~3月は旧中村家が五勝手屋のお菓子の舞台となります。写真は旧関川家別荘。

長い年月を経た和風建築は趣も特別です。写真を撮る際には縁側や和室を利用しますが、関川家では美しい庭園が映す四季のめぐりが和菓子にたいせつな季節の表現に素敵な演出を添えてくれるので、私のお気に入りの場所になっています。
ちなみに、この関川家庭園は『えぞだて公園』として整備され観光客も多く訪れますが、子どもの頃はラジコンで遊ばせてもらったり、春には花見に出かけたりと、江差の人にとっては日常生活に溶け込んだ場所でもあります。

まちの魅力を伝え、そして、私たちのつくるお菓子を食べてみたいと思ってもらえるように―。この2つの願いを込めながらお菓子の風景をお伝えするようになって、1年と少しが経ちました。

おかげさまで、近頃は「写真がきれいですね」とお声がけいただくことや、その写真を見て、江差町本店へお越しくださるお客さまも増えました。
この連載をきっかけに、実際に江差のまちへ足を運んでくださる方がいる。そのことが大変うれしく、また、それがいつもの私たちの励みとなっています。