第39回 2025年9月
小学校の夏休みが始まる少し前、「休みの間にクラスで飼っているカブトムシを預かる係になりたい」と次女から相談を受けました。この相談は、もし預かって何かあったら大変だ、という理由によりあえなく却下となります。
しかしその3~4日後、今度は長男がカブトムシを飼いたい、と言い出します。
普段はないカブトムシの要求、これが2度続いたため、こちらもやる気になってホームセンターでオスとメスをつがいで買ってきました。オスがキラちゃん、メスはカクちゃん。キラキラしていること、よく隠れること。それぞれの名前の由来です。
オスのキラちゃんは残念ながらすぐに死んでしまいましたが、メスのカクちゃんはその後も元気で、「卵を産んでくれたらいいね」と子どもたちと話しています。(ちなみに昔は夏の夜、山道の街灯の下によくクワガタが集まっていましたが、今はLEDの灯りのため集まらなくなってしまいました。時代の変化を感じますね。)
今年はそうして夏が始まり、8月半ば、江差町の夏のクライマックス【姥神大神宮】のお祭りは、初日から最終日までの3日間、町を練り歩く山車(やま)に長女と一緒について回りました。どの日も長丁場で、朝から夜まで祭りは続き、夜が更けるほど盛り上がっていきます。
最終日、祭りが最高潮に達する夜、不思議なことがありました。
のどが渇いた、という長女とコンビニへ行き飲み物を買いましたらおつりが「444円」のゾロ目。この偶然にふたりで驚き、その驚いた心持ちのまま再び祭りへ戻ると、ちょうど山車の通ったあとに大きなヘビの死骸が。マムシでしたが、道路の真ん中で息絶えていました。なにしろ“444”のあとです。
長女とふたり不気味だね、と少々怖い気持ちになりながら今度は祭りのフィナーレ、山車が神社へと帰っていくその直前に、山車を装飾する旗のひとつにどこから来たのか大きなカマキリがとまりました。カマキリは、ゴールである神社に到着するまで旗の頂上にとどまって、その後子どもたちが掴まえようと手を伸ばす中をサッと飛びどこかへ消えていきました。まるで、神社までの道をお供してくれたようでした。
“444”に始まってヘビの死、そしてカマキリ登場の流れ。厳かなお祭りを背景に普段ないことが立て続けに起きたため、スピリチュアルなものに興味のない私も珍しく神聖な気持ちになりました。自宅に戻ってから試しに「444」、「ヘビ」、「カマキリ」のキーワードで検索してみたほどです。そして、その結果がまた思いのほかどれも縁起の良い、非常にポジティブな意味で再び驚きました。
夏といえばオバケを連想しますが、誰しも理解できないものや先の見えない将来に畏れや怖さ、不安を感じ、何かに頼ろうとするのではないでしょうか。「神さま」や「死」、「成功・失敗」なんかもそういった類のものだと思います。
自分のやっていることに間違いはないのか、仕事のことで時折不安になる私ですが、検索した中で“新しいことが始まる”、“今やっていることに間違いはない”、といった言葉を見つけてずいぶん気持ちがラクになった夜でした。
江差のお祭りは歴史が古い上、北海道内でも指折りの大きなお祭りで、町内には祭りを元旦のように1年の始まりと位置付ける人も少なくありません。私もこの不思議な不思議な夏の夜を節目に、気持ち新たにまた次の始まりへと向かっていきたいと思います。