連載:一月一話

第21回 2024年1月

一期一会、と言いつつも。

あけましておめでとうございます。
本年も、五勝手屋をよろしくお願い申し上げます。

先日、朝8時から夜10時までという営業時間の老舗を見かけました。そこはいわゆる“住居兼店舗”でお店を営んでおり、そのことから、ふと思い出したことがあります。

昔、五勝手屋の閉店時間は「羊かんが売り切れ次第」というものでした。そのため、早い日は午前中で店を閉め、夏には午後が休みになった父と海へ遊びに行った記憶もあります。
そして反対に、売り切れていなければ閉店後でも、お客さんが来れば羊かんを売ります。夜の11時に店の勝手口を叩いて「羊かんを売ってくれ」とお客さんが来たこともありました。
そんなわけで、朝8時から夜10時までという老舗の営業時間を見て、住居兼店舗ゆえの“起きている時間が営業時間”だったあの頃を思い出したのです。

時を経て、今では閉店時間にしっかりと線引きをし、夜中に羊かんを売ることはなくなりました。そしてまた、それまであった月に一度の定休日を無くしました。
現在五勝手屋は、1月1日のみお休みを頂いておりますが、かつて定休日があった頃はその日に足を運んでくださったお客さまから「来たけどやっていなかった」というお声をたびたび頂いて、どうにも私はそのことを仕方がないと割り切れなかったのです。

「定休日はないんですか?」と訊かれれば、その理由を「一期一会を大切にしたいので…」なんて格好の良い言葉でお答えすることもありますが、「行ったけれど閉まっていた」とのお言葉が極力ないようにしたくて、それで、五勝手屋の休みは1月1日のみ、定休日は無しと変えたのです。
“起きている時間が営業時間”ではありませんし、会えないときは会えないとわかってはいるのですが、やはり人に会うことが好きな性格なのでしょう、休むことがもったいないと感じる欲張りな自分がいるのでした。

さて、そんな五勝手屋、今年も元旦だけのお休みを経て、新たな一年を始めて参ります。
みなさま、どうか本年もご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。