連載:一月一話

第27回 2024年7月

“身の上話”を羊かんに。

先月のお話ですが、6月14日から16日の3日間、和菓子の日特別企画として【五勝手屋羊羹・オリジナルラベル企画】を行いました。お客さまが自由にデザインしたラベルで、オリジナルの丸缶羊羹をつくっていただくというものです。
最終日の16日は父の日でしたから、お父さんへのプレゼントにご利用されるお子さまが多いのでは、と想像していましたが、実際はそうした予想とは違ったさまざまな方がいらしてくださいました。

たとえば、お孫さんの写真を持っていらした方。たいせつな写真をカラーコピーして羊かんのラベルにされていました。

また、札幌に住んでいる私の友人が、ありがたいことに、この企画に合わせて里帰りをしてくれました。友人は、両親の顔を見に月に一度江差町へ帰って来ているそうですが、今回はその予定を五勝手屋の企画に合わせてくれたというのです。

一方では、ご自身の勤める会社のロゴマークをお持ちになった方もいました。できた羊かんはお得意先に配るのでしょうか。“五勝手屋使い”に長けていますね。

さらには、このイベントを告知するチラシが投函された日に「弟が亡くなった」という方がいらっしゃいました。イラストレーターだったという弟さんの作品を数点お持ちになり、完成品を仏前に供えたと伺っています。

今回の企画、構想段階では親子がゆっくりオリジナルラベルを描く様子をイメージしていましたが、実際はさまざまな身の上話に耳を傾けられる予想外の三日間となりました。
私自身も江差町のお客さまに接して、直接お話を伺うたいせつさや楽しさを感じましたし、さまざまな場面で五勝手屋を使っていただいている、支持していただいているということを再認識できた貴重な時間でした。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。この企画はまたやりたいと思っています。

ところで、冒頭でお話しした【父の日】のプレゼントとして利用される方が多いのでは、という予想、これも大外れでしたが、唯一「お父さんへ」とラベルをつくってくれたのがうちの娘でした。
これまた嬉しい予想外。和菓子の日の特別な思い出となっています。