連載:一月一話

第28回 2024年8月

夏。羊かんにも、汗。

年々、夏の暑さが厳しくなってきましたね。五勝手屋では、1982年に工場を建て替えていますが、当時は夏がこんなに暑くなるとは予想できませんでしたから、工場の中に冷房はありません。そのため、1年の中で最も暑いこの8月は、おおいに季節を感じながら働いています。ただし、建て替え当時、唯一羊かんを保管する倉庫にだけは冷房を設置していました。ですから、羊かんたちは夏も快適に過ごしています。

ところが、この暑さにおいては、人間だけでなく羊かんも“汗”をかくことがあります。
たとえば丸缶羊かん。涼しい環境の倉庫から室温へ移動したとき、丸缶羊かんの頭に乗せたシャリシャリのお砂糖が、温度差で蒸発した羊かんの水分と溶け合って、砂糖水になっていることがあるのです。もちろん、そうなっていても味と品質には問題ありませんからご安心ください。

そしてもし、丸缶羊かんがそうして “汗”をかいていたら、人間と同じようにこの暑さや湿気のなか、よく頑張っているなと思ってやってください。

ちなみに私は、先日とある街のビアガーデンでビールをたしなんできましたが、そこでも暑くて暑くて大汗をかいていました。
夏らしいことをほとんどしない私にはビアガーデン自体が珍しい体験で、ビールのおいしさより暑さと汗がうらめしいひとときでしたが、普段、高温多湿を避け、事務所で快適に過ごしている羊羹屋の主人ならもっともな結果だったなと思ったのでした。

皆さまも汗をかきすぎることのないよう、この暑さに気をつけながら、今年も良い夏をお過ごしください。