第41回 2025年11月

先月、催事で仙台へ行ってきました。これまで仙台へお邪魔するときは梅雨の時期が多く、“晴れ男”を自称する私も雨に降られてばかりでしたが、3年ぶりの仙台では晴天が続き、これは晴れ男の本領発揮かな、なんてことを思っていました。
ところが、江差に戻ってすぐ、仲間と共に2日限りの【海の見える喫茶店】(※)を開きましたら、晴れ男はどこへやら。1日目、江差の素晴らしい夕陽をご覧いただこうとあえてオープンを16時にしていましたが、その日、空は一面、厚い雲がびっしりと広がる見事なまでの曇天。喫茶店の営業中、夕陽は一筋の光も見えないまま、海の向こうへ沈んでいきました。
(※)海を望むロケーションで、五勝手屋と江差町のイタリアレストラン、函館市の珈琲店がもてなす2日間だけの喫茶店。今回で二回目の開催。(写真は昨年の様子)

こうして空模様に一喜一憂していた10月、ふと思い出したのが2年ほど前に見かけたお寺の掲示板です。実際どう書かれていたか定かではありませんがそこには【天気に、良いも悪いもない】といった言葉がありました。
そもそもは、そうですね。空は空の事情で晴れたり雨だったりしているだけ。そして人間界でも、一般的に晴れた空が“良い天気”とされていますが、晴天を“良い”と捉えるのはあくまでも主観の話。雨の日が好きな人もいるし、恵みの雨、という言葉もある。日照りが続くと困る農家さんや、雨の日はお客さんが増える、と喜ぶタクシー運転手の方もいます。晴れているから“良い天気”というのは自分だけの考えであって、立場が違えばまったく逆の場合もある…。

雨を歓迎する方の気持ちを想像していたら、最終的に「何事も、心の持ちようで気持ちは変わるのでは?」という考えに至りました。疲れたな、と思ってもそのおかげで夜にぐっすり眠ることができる。昼まで寝ていたいなと思うのは、朝からきちんと商売をさせてもらえているということ。雨に限らず、心の持ちようで感謝の思いに転換したり、くもった心が明るく変わることはいくらでもあるようです。
さすがに、夕陽を見たいというときは晴天であって欲しいですが、晴れでも雨でもどちらでも、そのときどきを楽しく捉える心の持ちようで日々を過ごしていけたら良いですね。そして北海道はこれから冬。美しい雪、おそろしい雪、楽しい雪、なごりの雪。さまざまな雪と付き合いながら“心の持ちよう”を意識して、楽しくこの季節を過ごしていきたいと思います。